【コラム】無償否認とは
破産法は、破産債権者を害する行為の否認の1つの類型として、無償否認を規定しています。
具体的には、破産法は、破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立てがあった後又はその前6月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる旨規定しています。
破産法は、債務者が破産債権者を害することを知ってした行為は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる旨規定しています。 |
ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない旨規定しています。
無償行為の否認においては、条文上、債務者が破産債権者を害することを知っていたこと、利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害する事実を知っていたことは、いずれも要件とされていません。
同族会社の代表者が、当該会社のため、連帯保証をし、担保を供与した場合、無償行為の否が問題となった事案について、最高裁判所の裁判例には、「破産者が義務なくして他人のためにした保証若しくは抵当権設定等の担保の供与は、それが債権者の主たる債務者に対する出損の直接的な原因をなす場合であっても、破産者がその対価として経済的利益を受けない限り、破産法72条5号にいう無償行為に当たるものと解すべきであり、右の理は、主たる債務者がいわゆる同族会社であり、破産者がその代表者で実質的な経営者でもあるときにも妥当するものというべきである。」旨判示したものがあります。
なお、上記裁判例中の破産法第72条5号は、平成16年法律75号による改正前の破産法であり、平成28年1月時点では、破産法第160条3項に相当します。
また、上記裁判例では、無償性は、専ら破産者について決すれば足り、受益者の立場において無償であるか否かは問わない旨指摘しています。
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