【コラム】労働者の破産と雇用契約
1 双方未履行の双務契約の破産手続上の扱いの原則
破産法は、双方未履行の双務契約について、破産管財人は、契約を解除し、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる旨規定しています。
破産管財人が債務の履行を選択した場合には、相手方が有する請求権は、財団債権として扱われます。
破産管財人が、解除を選択した場合には、契約関係は遡及的に消滅します。 |
もっとも、破産管財人が解除を選択した場合、相手方は、破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存するときは、その返還を請求することができ、現存しないときは、その価額について財団債権者としてその権利を行使することができます。
相手方が有する損害賠償請求権は、破産債権となります。
一方、相手方は、破産手続開始決定がされたことを理由として、契約を解除することはできないと解されます。
このままでは、相手方の地位が不安定になるため、相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができ、破産管財人がその期間内に確答をしないときは、契約の解除をしたものとみなされます。
2 労働者の破産の場合の労働契約の扱い
労働者が破産した場合、上記双方未履行の双務契約について規定した破産法53条の規定の適用はないと考えられます。
したがって、破産管財人は、労働者が破産した場合、労働契約を解除することはできないと考えられます。
また、使用者の側が、労働者が破産手続開始決定を受けたことのみを理由として解雇することは、通常、解雇権の濫用となり、解雇が無効になると考えられます。
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