【コラム】対抗要件の否認
破産法164条1項本文は、 支払の停止等があった後権利の設定、移転又は変更をもって第三者に対抗するために必要な行為(仮登記又は仮登録を含む)をした場合において、その行為が権利の設定、移転又は変更があった日から15日を経過した後支払の停止等のあったことを知ってしたものであるときは、破産手続開始後、破産財団のためにこれを否認することができる旨規定しています。 |
したがって、対抗要件充足行為の原因行為が否認の要件を満たさない場合であっても、対抗要件充足行為が否認の対象になる場合があります。
この規定について、どのように解釈したらよいのでしょうか。対抗要件充足行為が、本来、否認の対象になるのかという点とも関連して問題となります。
この問題について、最高裁判所の裁判例は、
「・・・本来、不動産の物権変動は、対抗要件を具備しない以上第三者に対抗しえないものであるから、これを具備しない不動産の物権変動はこれをもって破産財団にその効力を及ぼしえないものである。したがって、この要件を具備することは、破産財団の増減という観点からは、権利変動の原因たる法律行為と同様破産債権者を害する結果を生じうべきものであり、かかる要件の充足行為も、元来同法72条の一般規定によって否認の対象となしうべきものである。しかし、対抗要件なるものが、すでに着手された権利変動を完成する行為であることを考えれば、原因行為そのものに否認の理由がないかぎり、できるだけこれを具備させることによって当事者に所期の目的を達せしめるのが相当である。それゆえ、破産法は74条において、一定の要件を充たす場合にのみ、とくにこれを否認しうることとしたのである。」旨判示したものがあります。
なお、上記「同法」は、平成16年法律第75号による改正前の破産法を指し、72条は、現破産法160~162条がこれに対応する条文になります。また、改正前の破産法74条は、現破産法164条がこれに対応する条文になります。
このように、原因行為が否認の要件を充たさない場合であっても、対抗要件充足行為が否認される場合もあると考えられます。
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