委任契約と破産(委任者の破産)

民法は、「委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと」を
委任契約の終了事由の一つと定めています。
 

もっとも、委任者は、破産手続開始決定を受けた事実を受任者に通知するか、
または、受任者が、委任者が破産手続開始決定を受けた事実を知っていたとき
でなければ、委任契約の終了を受任者に対抗することができません。

 

破産法は、受任者が委任者から破産手続開始決定を受けた旨の通知を受けず、
かつ、破産手続開始の事実を知らずに委任事務を処理したときは、
これによって生じた債権は、破産債権として行使できる旨規定しています。

 

委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者は、
委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することが
できるに至るまで、必要な処分をしなければなりません。

 

破産法は、委任の終了の後、急迫の事情があるために受任者がした行為によって
破産手続開始後に破産財団に対して生じた請求権は、財団債権になる旨規定しています。

 

もっとも、例えば、会社と取締役の関係は、委任契約の関係ですが、
裁判例のなかには、委任者である株式会社が破産手続開始決定を受けた場合に、
委任関係が当然には終了しないことを前提としていると解釈できるものがあります。

 

委任契約と破産手続について、わかないことがありましたら、弁護士までご相談ください。

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