会社の倒産に際して、社長が知っておくべき8か条を弁護士が解説

はじめに

会社が倒産する事態に至った場合、社長としては、通常、初めての経験であり、不安になることも多いと思います。また、多くの場合、社長が会社の銀行に対する借り入れを連帯保証していることが多いと思います。

しかし、会社が倒産することになっても、すべてを失うものではありません。

会社の事業の継続が困難な状態で、親族から無理な借り入れをしてしまったりすると、むしろ、逆効果になる可能性もあります。

会社が倒産をするとどうなるか、正しい知識を得たうえで、会社の事業の継続をするか否かの判断材料の一つとしていただければと思います。

8か条

 ①破産しても仕事をしてもよいのでしょうか?

破産しても仕事ができなくなるものではありません。

社長個人が破産手続開始決定を受けることにより、弁護士、税理士など一定の職業につくことができなくなります。免責決定が確定することにより、復権します。

 ②国民年金や厚生年金は、引き続き受給できますか?

社長個人が破産手続開始決定を受けても、国民年金や厚生年金の受給が止まるものではありません。

 ③従業員は、どうすればよいのですか?

会社が倒産する場合には、通常、従業員を解雇します。

 ④家族の財産は、どうなりますか?

社長個人が破産することとなっても、社長の家族の財産は、通常、社長個人の破産財団を構成しません。

なお、家族が会社の債務の保証人になっている場合などは、保証人としての責任を負います。

 ⑤自宅は、残せますか?

自宅が会社名義になっている場合、会社が破産手続開始決定を受けると、破産管財人が選任され、破産管財人が換価しますので、自宅は残せないと考えられます。

自宅が社長個人名義になっている場合、社長個人が破産手続開始決定を受けると、通常、自宅の不動産は、破産管財人が換価しますので、残せないと考えられます。

 ⑥自動車は、残せますか?

会社の自動車については、破産手続開始決定後、通常、破産管財人が換価しますので、残せないと考えられます。

自動車の所有名義が信販会社になっているもので、自動車ローンが残っているものについては、通常、信販会社が引き上げます。

社長個人の名義の自動車については、その経済的価値によって残せる場合もありますし、残せない場合もあります。

 ⑦破産をすると第三者に分かりますか?

破産手続開始決定などがされたとき、破産した方の住所、氏名等が官報に掲載されます。

もっとも、官報を一般の方が見ることはほとんどないと思われます。

また、会社については、会社の登記簿謄本に破産手続開始決定を受けたことが登記されます。破産手続が終了すると、会社の登記は、閉鎖されます。

 ⑧破産管財人は、どのような業務を行いますか?

破産管財人は、破産した法人や破産した方の財産を換価し、債務を調査し、配当が可能であれば、債権者に配当をします。

また、破産した方が個人の場合、免責の調査も行います。

なお、債権者集会には、通常、申立代理人である弁護士も同席します。

まとめ

事業の継続が困難であると感じたら、お早めに弁護士までご相談いただき、破産手続について、正確な知識を持ってください。

そのうえで、破産手続をするか否か、破産手続をする場合にはどのタイミングで開始するか、継続して弁護士にご相談をされてはいかがでしょうか。

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